昨日(11月23日)に台北のハイアットホテルで話し合いが持たれましたが、連立の話は決裂しました。日本でも報道もされています。

台湾総選挙、野党の候補一本化協議まとまらず きょう締め切り


[台北 24日 ロイター] - 来年1月に行われる台湾総統選の立候補受付締め切りが24日夕方に迫る中、最大野党の国民党と野党第2党の台湾民衆党の候補者一本化協議は依然まとまっていない。 対中融和路線を掲げる国民党と台湾民衆党は、与党民進党に対抗するために協力することで合意。国民党の侯友宜氏と民衆党の柯文哲氏は23日に協議を行ったが、国民党が会場を出る形で協議は打ち切られた。 候補者受付の締め切りは0930GMT(日本時間午後6時)。侯氏と柯氏は24日午前中にそれぞれ届け出を行うとみられる。




日本の報道ではサラリと書かれていますが、相当激しいやり取りが行われ、最後は国民党の主席が怒って席を立ち会議が終了しました。全てのやり取りをメディアが生中継しており、日本人の私はその激しさにビビリました。

台湾ではものすごい数の報道がされていますが、切れ切れで一つで全てを通して見れるものが見つかりませんでした。私は台湾人ではありませんが、必死のパッチで生放送を見ていましたから話の流れは理解しているつもりです。しかしながら再現するのは意外に難しいです。誤解を恐れず、少し解説してみますね。

1.最初は話し合いをする会場で意見が対立。両者がハイアットホテルと馬英九事務所に分かれて待機するという異常事態が発生。国民党の侯友宜もホンハイの郭台銘に仲を取り持ってほしいと依頼した手前もあり、最終的には国民党側が折れる形で郭台銘がアレンジしたハイアットホテルに現れた。








2.ようやくメンツがそろい話し合いが開始しました。この打合せの主催者を自任する郭台銘が話を始めました。アメリカの感謝祭がどうのこうのとか、自分の披露宴をここでおこなっただとか、何だか訳の分からない話から始まりました。

煙に巻いた後で、郭台銘は別途用意している話し合いの部屋に馬英九と朱立倫の席を用意していないことを慇懃無礼に詫びつつ、予定外に現れたことをビシッと非難します。何と「重量級の不速之客」だなんて表現しており、これって滅茶苦茶失礼ですよね。

馬英九は「私は立会人であり、原則として発言はしない」と郭台銘のジャブを回避すると、元総統かつ自分の結婚式に主賓で来てもらった手前、流石に郭台銘もこれ以上の追求はしませんでした。

郭台銘は国民党内での自身の扱いについて不満に思っており朱立倫を嫌っているためか、「アンタはどういった立場でここに来たのか?」と厳しく追及。郭台銘曰く、「今夜は徹夜してでも話し合って両者が握手するまでやる場を設けた。これが私のやり方。そうでなくて、政党間の話し合いをするというのであれば、自分にはそれを取り持つ資格がないので退席する」と迫る。侯友宜が慌てて説明しようとするも、郭台銘は受け付けず、どうしても朱立倫からの回答を要求。

朱立倫曰く、「柯文哲は民衆党の主席兼総統候補であるが、国民党の侯友宜は総統候補者であるが全てを代表できるわけではないので、党主席の自分も同席する」と説明した。

郭台銘は「侯友宜・柯文哲・郭台銘の3名で、ホテルの部屋に上がって話し合いをし、結論が出れば下りてきてカメラの前で説明することでどうか」と迫っていたが、侯友宜は「密室では打ち合わせない。カメラの前の公開の場で話し合う」と拒否した。









3.ようやく主役の二人のやり取りが始まります。

① 侯友宜は前回柯文哲もサインした協議書の内容に従って柯は副総統候補になることを認めろと主張するばかり。

② 柯文哲は協議書を否定するわけではなく尊重するが、我々の目的は政権奪還であり、私が問うているのは、どの組合せの勝率が高いかだ。貴方が今思っているのは政権奪還ではなくて、政党の利益を拡大したいだけではないのかと反論。

③ 侯友宜は突然隠し玉を出す。柯文哲が侯友宜に送ったショートメールの内容を暴露。柯文哲は「郭台銘は選挙から撤退する為の理由を探している。彼の面子を立てて両者で話し合いの場を持とう」と侯友宜に投げかけていたことが判明した。柯文哲は表では郭台銘の事を戦友と呼んでいるが、裏ではそんな風に扱っていたことが判明した。柯文哲は郭台銘の横で気まずい思いをし、「私信を暴露するなんて、怪しい評論家がすることで、総統がするようなことではない」と激怒。侯友宜は「ショートメールの内容を読み上げていいかと先ほど確認し、貴方も同意したではないのか」と反論し取り合わない。

④ 相変わらず世論調査の数値に関する話から両者は進まないので、郭台銘は「私は統計学は落第の人間なので、トイレ休憩する」と言い放って退場した。

⑤ 会議の進行を担当する郭台銘事務所の発言人が、「時間の制限もあり世論調査にこだわれば結果は出ない。今日はそこから離れて新しい話し合いをしよう」と割って入ると、国民党の朱立倫が急にブチ切れて「世論調査は正しいものだ。侮辱するな」と言い放ち席を立った。郭台銘からの失礼な投げかけに冷静に対応している様に見えていた朱立倫でしたが、実は相当頭に来ていたのか、この場面の切れ方は訳が分かりません。侯友宜は横で唖然としていたが、従わざる得ずに同じく席を立ち退場するしかなかった。







本件は最後の最後まで決まるはずないが、最後の瞬間でお互いの利害に目がくらんで合意するものと個人的には思っていた。私の台湾に対する理解はまだまだ足りないようで、予想は外れた。

彼らは口では「台湾人民の6割が政権交代を望んでおり、それを実現する」なんてカッコいい事を言っていますが、結局はお互い自分の利益しか考えていないようです。


11/23(木)の茶番劇の様子は以上の通りでした。両者は打合せが物別れになっても、決裂したと言わないところが政治家でした。99.99%駄目でも最後の最後までいいません。

結局、11/24(金)に両党ともに内部から副総統候補者を立てて、選挙事務所に届け出た段階で連立の不成立が確定しました。