朝日新聞の記者が書いた「隔離日記」が、台湾の在留邦人から不謹慎と非難されている問題を、FB内でシェアされていたので知った。


 
私もかつて台湾で働いた者として在留邦人が怒る気持ちは分かる気がすると同時に、私も「野次馬根性」で台湾の事をあれこれと発信している者として「ハッ」とした。

「なんやこの記者はゲスなヤツやなあ」と記事を読みながら、ふと「せやけどお前自身もどうやねえん」と思った次第です。

同じく台湾に関する低俗な内容を書いている者として、少し言い訳するとしたら、私は常識の範囲内(自己判断)で情報発信しているだけで、それは趣味であり一円のお金も稼いでないし社会的使命も負っていない点が、記事を書いて生計を立てている大朝日新聞の記者との違いではあります。

今回の記者の肩を持つ気は毛頭ないが、取材や記者会見といったジャーナリストの仕事そのものが、元々「キワモノ」の性格を持っているものなので、仕方ない一面はあるとも思う。権威ある新聞社の記者も、芸能人の記者会見でどうでもいい不謹慎な質問をぶつける芸能レポーターも同じような存在だと思うので、この記者だけにケチをつけるのも少し可哀そうかも。

内戦現場に取材に出かける記者はシリアスに見えるけれど、一旦テロリストに拉致されてしまうと、一斉に非難される事となる。場面が「戦場」であるので、今回の記者のような非難のされ方ではないが、「現場で起こっている事実を世界に伝える使命」「人質救出で政府に多大な迷惑をかける行為」「そんな危ない所に行くまでの意味はない」等の議論が毎回起こり、そしてその答えはないままに忘れ去られる。

一体私は何を書きたいのか自分自身でも分からなくなってきましたが、今回書こうと思ったキッカケのニュースについてこれから説明します。


1.台湾で14日間の隔離中のイギリス人カップルが「まるで監獄のような環境にいる。食事は不味いし量も少ない。部屋も汚い」とイギリスのBBCが記事を発信しました。

2.三立新聞のニュースによると事情は以下の通りでした。

(1)イギリス人はお金がないので隔離用のホテルに宿泊せずに、花蓮政府が準備した「無料の施設」を自分達で選択した。

「無料の施設」とは学校職員の宿舎を隔離用施設として提供されたもので、イギリス人が夜に到着した時のイメージで、イギリスのお母さんに「ひどい場所だ」と連絡した事が、BBCを通じて報道され、国際的な話題となりました。

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(2)実際の施設は以下の通りで、個人的には「どこが監獄やねん」と思います。

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(3)部屋代は無料です。一日3回の食事は250元(約890円)で提供されます。

台湾政府は隔離された人に一日当り1000元の補助を支給するので、このイギリス人も例外ではなく隔離満了時に各人が14000元(約5万円)を受領します。

台湾にしてみれば、台湾の税金を払っていないのにもかかわらず、タダで宿泊させ、おまけに補助金まで同じようにあげるのに、文句を言われるのは心外ですよね。

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(4).イギリス人のカップルはBBCの報道を見て後悔し、台湾側には「出来るだけ早く記事を削除するように努力する」と謝りました。

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夜の到着時はショックを受けたようですが、その後はまんざらでもなさそうです。

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それではここで関連する三立新聞の動画をご覧ください。





3.滅茶苦茶横道にそれましたが、いよいよ核心部分です。

蘇行政院長が、今回のイギリス人の件に関してコメントしています。

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「イギリス人カップルの件は事実ではない。恐らく個人的な感情によるものだろう。報道したメディアも記事をすでに削除している。同様に、日本の記者の隔離日記に詳細に書かれている通り、実際は台湾の対策は用意周到であり、非常に努力しているものです







大朝日新聞の記者殿は、その態度に問題はあると思うし、記事の内容は不謹慎でもあるとは思う。会った事はないが、きっと個人的には嫌いな類の人のような気がする。

でもでも、そんな記事でも今回は蘇行政院長が台湾の立場を説明する一助にはなっていました。

存在意義が明快な立派な記事が理想的ですが、くその役にも立ちそうにない記事でも、どこで効力を発揮するかわからないので、違法なものや著しく倫理に反するような記事以外は大目に見ておく必要があるのかなあと今回思った次第です。