「台北市立第一女子高級中学校(通称:北一女)」の高校2年生が作った動画が話題になっています。

その動画は学内で行われた「高二的新詩朗誦比賽(高校2年生の新作の詩の朗読コンペ)」で発表された作品でした。

彼女たちの学校は台北市の総統府のスグ近くにある為に、頻繁に「デモ」が行われるエリアで学ばざる得ない環境にあります。そんな環境をブラックなユーモアも交えながら、自分たちの日常生活と決意を表現していて非常に面白いです。彼女たちの作品を聞き取り翻訳をつけてみました。




砰!砰!砰!砰!ポン、ポン、ポン、ポン)」
快聽!聞いて聞いて!)」
那是禮炮的聲音!あれは礼砲の響きよ!)」
砰!19 20 21 21響!ポン、ポン 19 20 21回)」
最高規格的禮遇 最高レベルの儀式)」
外賓的光迎接我們外国のお客様の栄誉が私達を迎えてくれます)」

(注:総統府では、外国の賓客を迎えた時に礼砲の儀式があるので、それも良く聞こえるようです)



我們熱切、憂慮、期待、忐忑
私達の情熱、憂慮、期待、悩み)」
青春夢想 爆發!青春の夢、爆発)」
我終於考上北一女了!私はついに北一女に合格した!)」
(注:北一女は日本時代に創立された歴史と伝統の超名門校で、少女たちの憧れの学校であることが、この辺りからもうかがえます。台北市で緑色の制服をみたら彼女達です)


歡迎來到台北市立第一女子高級中學 拒馬高級中學台北市立第一女子高級中学、バリケード高校、にお越しいただき歓迎いたします。)」
聽說 凱道又圍起了聞くところによると、道路がまた囲まれたらしい)」
密密麻麻的拒馬びっしりと建てられたバリケード)」
築起台灣的民主台湾の民主を築く)」
圈住我們的自由 行動的自由 內心的自由私達の自由、行動の自由、心の自由も囲い込みます)」
禁錮一切質疑 我們只剩固執己見 一切の疑問を封じ、私達は自説に固執するだけだ)」


上學路 放學路 不自由 辛辛苦苦
登下校は不自由で苦労が多い)」
一切的一切 自從我們成為總統的鄰居それら全て一切は、私達が総統のお隣さんになった事に始まる)」
拒馬特製的天井 無法圈住バリケードで特別に作られた空間でも全てを閉じ込めることは出来ない)」
台獨台獨 沸沸揚揚 同婚 同婚 滿城風雨 反年改 反年改 熙熙攘攘 台湾独立だ! 同性婚だ! 年金改革に反対! と賑やかだ)」


(ここからレ・ミゼラブルの挿入歌の一部が歌われます)

Do you hear the people sing?
君には聴こえるか、人が歌っているのを?)」
Singing a song of angry men怒れり男たちの歌を歌っているのを)」
It is the music of a people Who will not be slaves again!それは人々の歌だ、二度と奴隷にはならないという)」
When the beating of your heart Echoes the beating of the drums胸の鼓動がドラムのビートと響き合うとき)」
There is a life about to start When tomorrow comes!明日が来た時、そこには正に始まろうとしている人生がある)」



扁平的新聞到眼前立體成型新聞紙面だった話題が、実際に目の前で展開する)」


怒火訴求連署抗爭
怒りの炎は政府にだって抗議します)」
理性與非理性 充斥眼中耳中理性と感情、目や耳の中に氾濫する)」
身在特等席 我們看著聽著第一手消息 私達は特等席にいる。私達が見たり聞いたりするのは一番最初の情報だ)」
眾說紛紜間 立場倒塌民衆の意見は様々で、立場も全く違う)」


重組 思變 交織獨屬北一女的世界觀組み換え、再考、異なるものを重ねるのは北一女独特の世界観だ)」

何須盲目聽從他人盲目的に他人の意見を聞くことが必要であろうか、いや無い)」
何須盲從意識主流 主流の意見に盲従する必要があろうか、いや無い)」
我們有屬於自己的判斷 私達には自身の判断がある)」
一切的一切 自從我們成為總統的鄰居それら全て一切は、私達が総統のお隣さんになった事に始まる)」


百家爭鳴百家争鳴)」
關於時事 關於政局時事や政局に関して)」
在抗議聲浪中激盪抗議の声の波の中で激動し)」
在拒馬保護下茁壯バリケードの保護下で逞しく成長している)」
緩步行過凱道正中央道路をユックリ歩いて横切る)」
向紅磚建築前矗立的憲兵 赤煉瓦の建物の前で直立する憲兵さんに)」
微笑揮手 微笑んで手を振る)」

只有我們能看見私達だけが見れる)」
學校與總統府的國旗一同飄揚学校と総統府の国旗が並んではためくのを)」
我們擁有全世界獨一無二的風景私達は全世界でここにしかない風景を持つ)」
當我們成為了總統的鄰居
総統のお隣さんなったものとして)」



高校の公式サイトにはコンペに出た全ての作品が公開されましたが、一時期この作品だけが削除されており、批判の声もあり今では復活しているようです。
学校側のコメントは「担当者が間違って削除してしまっていた」。


それにしても彼女たちのセンスには驚かされました。「北一女」はやりますねえ。台湾の若者の無限の可能性に感動したし、彼女たちの明るい未来を確信しました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/台北市立第一女子高級中学