今朝の一面記事です。

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台湾の蔡英文総統は南米のパラグアイへの外遊に出かけましたが、途中のアメリカのロスアンゼルスに寄港した際に、台湾の有名なコーヒーのチェーン店である85度Cの支店があったので立寄り、その映像が公開されて問題が発生しました。

中国の官製メディアの「環球時報」は、中国にも支店を出している85度Cは「台湾独立を志向する企業である」というレッテルを貼り強烈に批判しました。また中国のネットユーザーも、これに追随する書き込みをしているようです。

これに対して、今朝の「りんご日報」の一面記事のタイトルは「悪劣中国」となりました。

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それにしても毎度ながら、あっと驚くような所にまでケチをつけてきますねえ。

更に、「85度Cは総統の為に特別に製作した大きなお土産を渡した」なんて指摘もありました。この点も全くの誤解で、店員が自分が所有するキャラクターグッズを差し出して総統に「サイン」をしてもらっただけで、何も贈り物をしたわけではありませんでした。

仮に百歩譲って、記念品を贈ったとしても、賄賂でもあるまいし何が問題なのでしょうか? 
全く理解に苦しみますが、中国ではこのような場面では贈り物の中には現金が隠されているものなんて常識があるのですかね??


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今回の騒ぎを受けて、85度Cの中国支店は声明を発表しました。

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在中國大陸開展業務多年,衷心感謝各級政府相關部門的指導與協助,以及消費群眾支持;
中国で長年営業してきましたが、その間の政府各部門の指導と協力及び消費者の支持に対して感謝申し上げます

堅定支持「九二共識」的立場從未改變,(九二共識の支持を堅持する立場に変わりありません

反對任何分化兩岸同胞情感的行為及言論,(中国と台湾の同胞の感情を対立させるような如何なる行為及び言論には反対します

持續稟(秉)持「兩岸一家親」信念,為兩岸消費者提供產品及服務;( 中国と台湾は一つの家庭との信念を継続し、両方の消費者に対してサービスして参ります

85度C未送給來訪者大禮包,是店員拿吉祥物給「台灣當局領導人」簽名作私人紀念。( 85度Cは来訪者に対して贈り物はしていません。あれは店員がキャラクターを持ち出して、個人の記念の為に台湾当局のリーダーにサインしてもらったものです


少し補足説明しておくと、「九二共識」とは日本では「92コンセンサス」と呼ばれるもので、1992年に中国と台湾が合意したものです。

中国はこれによって「双方とも一つの中国を堅持する事を認めた」と理解し、台湾問題を取り扱う際の一番の基本であるとしています。それに対して、台湾の国内事情は変化しており、92コンセンサスを合意した国民党から民進党に政権が変わり、蔡英文総統の民進党政権は「92コンセンサスを堅持する」と一度も言わないために中国から度々批判されているものです。

先日の中国に航路を持つ航空会社が「中国 台湾」と表記を変更させられた事件が発生しましたが、中国で商売したいなら、「九二共識」の支持を表明することが必須であり、今回の事件でも声明には明記されています。


もう一つ、気が付いたのは85度Cは細心の気配りで文書を作成しており、「台湾」という独立国を想起させるような表現をせず、中国国内のガイドラインに従って「台灣當局領導人(台湾当局のリーダー)」という表現を使っています。

http://higashi2005.dreamlog.jp/archives/52203208.html


尚 三立新聞でも同じ話題が放送されていましたので動画もご覧ください。





ちなみに台湾の85度Cの名前の由来は「85度の温度で入れるコーヒーが一番美味しい」ことからつけられたと聞いたことがあり、2003年設立で今では全世界に1100店舗を展開している一大チェーン店です。

おそらく日本には無いと思いますが、アメリカの85度Cを紹介する動画がありましたのでご覧ください。