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今朝の一面記事です。台湾人が中国で拘束され、法廷で「懲役5年、政治権利の剥奪2年」の判決が昨日言い渡されたという内容です。

台湾の総統府は、「嚴重傷害兩岸關係(両国の関係を厳しく傷つけるものだ)」と非難し、サポートしている団体は、「中國是黑幫政權,痛批審判不公義,哪怕只是判1天也是重判!(中国はヤクザ政権だ。審判には正義はないと痛烈に批判するとともに、たとえたった1日の判決でも重刑だなんて!)」と声明を発表。

それでは少し内容を見てみましょう。

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今回判決を受けた台湾人は李明哲(42歳)で、今年の3月19日にマカオから中国の珠海に入国後に消息を絶ち、29日にようやく「危害國家安全活動」の嫌疑で中国の取り調べを受けている事が判明。

8月に「顛覆國家政權罪(国家政権の転覆罪)」で正式に起訴された。「顛覆」だなんて初めて見た単語でしたが、普段私達が使っている「転覆」と同じ意味であり、日本語の漢字でも「顛覆」と使う場合があると初めて知りました。

9月11日に開廷し、現場の様子が放送された。李は公式の場で起訴内容の罪を認め、数度「深表懺悔」と述べた。本件は同時に起訴されている「別の被告人である彭宇華の指示によるものである」と述べ、更に「自己沒被逼供(自身は自白を強要されたわけではない」とも述べました。


何が何だか具体的な内容は良く分かりませんが、ここに書かれている内容だけで見ると以下の通りです。

1.中国のネット上で行われていた政治的な討論に台湾人が積極的に参加した。
2.中国に入国した途端に拘束された。そして既に254日拘束され、昨日判決。一切反論することなく起訴内容を全面的に認めて判決は懲役5年。

この台湾人はネット上で行われている議論に参加しただけで懲役5年だなんて、何とも恐い内容ですね。私なんかもネット上で、時には中国に批判的な事を書いたりしますが、実はあれも危険な行為なのかもしれません。我々の世界では表現・思想の自由が基本的には保障されており、過激派のような実行動に出ない限り何を書こうと大丈夫なはずですが、隣の国では超危険な行為のようです。


今回の判決は中国の法律家にも驚きだったようです。李明哲は主犯でもないし、1年~3年くらいと予想されていました。

台湾のニュースで、判決時の様子や、中国のマスコミによるインタビューの様子が紹介されていました。台湾人の感覚は我々日本人と同じようなものだと思われますので、本人は「これは一体何なんだ。そんなに悪い事なのか?」と思っていると私は想像しますが、その辺りはグッと飲み込み、本当に一切の反論もせず、無茶苦茶な起訴内容を全面的に認める場面から、中国の怖さがヒシヒシと伝わってきます。一応私は中国の経験も長いし、それなりの知識はあるつもりですが、それでも今回の事件は大変な驚きです。





私は中国ファンであり、台湾ファンでもある日本人です。この事件があったからと言って「謙中国」になるわけでもありませんが、私が暮らす日本の社会で「謙中国」が広がることが残念です。

何処の国にも良い所と悪い所があるという真実がかき消されて、「中国は悪い所しかない」という認識になってしまうので、中国もその辺りを良く考えて欲しいと思う。

話は変わりますが、上の動画では主犯の人も写っており7年の懲役を言い渡されています。主犯の7年は、共犯の5年に比べると軽い印象はあります。それと音声では「台湾人」と言われていますが、詳細は不明です。同じ台湾人が更に重い罪を言い渡されているのに、台湾のニュースは彼にはほとんど注目されていないのは何故でしょうか? かなり謎です。