興味深いニュースを見たので、ご紹介します。

日本は2019年から、海外に出国する旅客に対して出国税を徴収する事が決定しており、立法委員が「台湾も日本と同じようにしてはどうか?」と交通部長に質問したらしい。

交通部長の回答は、「現状は既に旅客から500元を空港使用料として徴収しており、その大部分を観光関連に使用している。それについて3か月以内に評価報告をする」と回答しました。

ニュースによると、日本以外にも韓国・香港・オーストラリアには出国税があるそうです。

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私は日本人だし、更に頻繁に出国している人ですが、「出国税」なるものの議論を全く知らなかったので驚きました。また、日本の事を台湾に教えられました。早速調べてみると以下の記事を見つけました。


「出国税」は本当に要るのか(2017年10月1日 日経新聞)    

観光庁が訪日外国人を増やすための財源を確保しようと「出国税」を検討している。本当にこんな税金が必要なのだろうか。

訪日客は2016年に2400万人を超え、過去最高を更新した。政府は20年に4000万人、30年に6000万人に増やす目標を掲げている。

地方では複数言語による観光表示や通信環境が整っておらず、外国人が観光しにくいといった課題がある。それらを克服して「観光立国」をめざし、日本経済の活性化につなげようという発想は理解できる。

出入国手続きを円滑にするためのインフラを整えたり、出入国管理にあたる職員を増やしたりする必要もあるだろう。ただ、その手段として出国税が妥当かどうか。冷静に検討する必要がある。

仮に日本人も外国人も、日本を出国する際に1人あたり千円を税金として徴収すると、約400億円の税収を見込めるという。いまの観光庁予算の約2倍を確保できる計算だ。

日本の財政事情は厳しい。もしも観光予算を増やそうというのであれば、国土交通省の公共事業などの予算を削り、その一部を充てれば済むだけの話ではないか。

出国税と似た税金や手数料は外国でも例がある。もしも日本で出国税をつくろうというのであれば、ある特定の歳出のためだけに使う特定財源とはせず、一般財源として財政健全化にも活用できるようにすべきだ。

最悪なのは、増税して無駄遣いをすることだ。観光振興を名目に従来型の公共事業に振り向けてはならない。たいして効果のない広告や宣伝にお金をばらまくのも論外だ。


日本ではいったん制度を導入すると既得権益が生まれ、必要性が薄れてもなかなか廃止できずにいる例が多い。特定財源はその象徴でもある。出国税をつくるならば費用対効果を不断に検証し、一定期間後に見直すことを義務づけるべきだ。




以上の、日経の記事を見る限り、日本でも出国税の検討を開始したが、まだその結論は出ていないように見えます。但し、台湾で議論されるくらいですから、ひょっとして最新の情報では決定したのかも知れません。

いずれにしても税収が足りなければ、どこかから徴収すべき点については賛成ですが、今回の出国税の目的が「訪日外国人を増やすための財源の確保」であるので、今一つ納得できないですね。

お国がインバウンドで潤うのは良い事ですし、どんどん増えて欲しいですが、それは「国全体で担うべき事」であり、何故海外に出国する日本人や、海外へ帰国する外国人だけに絞って税金を徴収するのか理解できませんねえ。

「海外に行けるくらいだから、お金に余裕があるのだから少しくらい払いなさい」の議論はおかしい気がします。



 



以上、東森新聞でした。